クマっち「投資信託って、利回りが低いと意味なくない?今の利回りだけで選んじゃダメなの?」




「私も最初はそう思っていました。でも『Yield on Cost(イールドオンコスト)』という考え方を知ってから、見え方が変わったんです」
「今の利回り」だけで投資先を判断すると、実は将来の伸びしろを見逃してしまうことがあります。
この記事を読めば、なぜ「早く買うほど有利」なのか、なぜ積立を続けるほど強くなるのかが分かります。まずは仕組みから見ていきましょう。
Yield on Costとは何か



増配が続くファンドは、買った時の値段はそのままなのに、もらえる分配金だけがどんどん増えていきます。
たとえば100円で買った投資信託から、初年度に2.6円の分配金をもらえたら利回りは2.6%です。もし翌年、分配金が2.87円に増えたら、同じ100円の投資に対する利回りは2.87%に育ちます。




「あれ、それって普通の利回りと何が違うの?」




「『今の株価』ではなく『買った時の値段』を基準にするのがポイントです。株価が値上がりしても、私が払った金額そのものは変わりません。」
買った値段は変わらないのに、もらえる分配金だけがどんどん増えていく。これがYield on Costの面白いところです。
英語のcost(コスト)は「取得原価」、つまり自分が実際に支払った金額を指します。だから「Yield on Cost」は直訳すると「取得原価に対する利回り」。証券会社のアプリで日々表示される利回りは、たいてい「今の株価に対する利回り」なので、これとは別物だと覚えておくと混同しません。
「今の利回り」だけで判断すると危ない理由



個別株の配当利回りは、配当額が据え置かれれば何年経っても同じ水準のままです。でも増配(企業が配当金を前年より増やすこと)を続ける銘柄・ファンドは違います。
私が積み立てている楽天SCHD(楽天・高配当株式・米国ファンド)を例にすると、記事執筆時点(2026年7月)の利回りは約2.6%です。国内の代表的な高配当株(4%前後)と比べると見劣りします。
楽天SCHDの増配率や個別高配当株との比較は、こちらでさらに詳しく解説しています。



上の記事を書いた時点では1年前(2025年)の利回りは3.5%程度でしたが、基準価額が今より低かった当時の参考値です。この記事では、直近の実際の利回りである2.6%を基準にシミュレーションします。




「2.6%かぁ…今買うのはやっぱり損なのかな」




「そこがYield on Costの面白いところです。実際に10年分のシミュレーションを見てみましょう」
楽天SCHDで見る10年シミュレーション



本家SCHDの増配率(年10.4%)が今後も続くと仮定して、初期利回り2.6%が何年でどう育つかを計算してみました。
| 経過年数 | Yield on Cost |
|---|---|
| 今(購入時) | 2.60% |
| 1年後 | 2.87% |
| 2年後 | 3.17% |
| 3年後 | 3.50% |
| 4年後 | 3.86% |
| 5年後 | 4.27% |
| 6年後 | 4.71% |
| 7年後 | 5.20% |
| 8年後 | 5.74% |
| 9年後 | 6.34% |
| 10年後 | 7.00% |
3年後の3.50%で国内高配当株の水準に近づき、5年後の4.27%で追い抜きます。買った値段は最初の2.6%分のままなのに、もらえる分配金だけが育っていく計算です。
これはあくまで過去の増配率が今後も続くと仮定したシミュレーションです。将来の増配を保証するものではなく、為替の動き次第で一時的に円換算の利回りが下がることもあります。
早く買うほど有利になる理由



Yield on Costは「買った時の値段」が基準になるため、早く買うほど基準となる値段が低くなり、同じ増配率でも将来の利回りが高くなります。




「じゃあ、今買うのと1年待つのとでは、けっこう差が出るってこと?」




「はい。1年待って利回り2.87%からスタートする人より、今2.60%から始めた人の方が、同じ経過年数でも常に一歩リードできます」
具体的に比べてみます。今2.60%で買えば5年後に4.27%まで育ちますが、1年待ってから買うと、増配が進んだ分だけスタート地点の利回りも上がり(2.87%程度)、同じ経過年数で比べたときの育つ期間が1年短くなります。早く始めるほど、複利のように利回りを育てる時間を長く確保できるということです。
毎月積立でYoCが「層」になっていく話



ここまでは「一度に買った場合」の話でしたが、毎月積立をしている人はもう少し複雑です。毎月の購入分ごとに、それぞれ別のYield on Costが生まれます。
1月に買った分は1月の価格が基準、6月に買った分は6月の価格が基準。積立を続けるほど、いろいろな基準価格のYoCが層のように積み重なっていきます。




「毎月バラバラの基準になるのか。ちょっと複雑そうだね」




「私もそう思っていましたが、逆に言うと早い時期に買った分ほどYoCが高く育っていくので、積立を長く続けるほど平均的な利回りも底上げされていくんです」
毎月の購入分ごとのYoCを自分で細かく計算するのは大変です。証券会社のアプリでは平均取得単価しか出てこないことが多いので、私は「全体としてどれくらい育っているか」をざっくり把握する程度にとどめています。
完璧に計算しようとしすぎないことも、長く続けるコツかもしれません。
まとめ|買った値段は変わらない、育つのは利回り



・Yield on Costは「買った時の値段」に対する利回りのこと
・増配が続けば、買った値段は変わらないまま利回りだけが育っていく
・楽天SCHD(利回り2.6%)は増配率10.4%が続けば5年後に個別高配当株の水準を超える計算
・早く買うほど基準となる利回りが低くなり、将来有利になる
・毎月積立では購入時期ごとに異なるYoCが層のように積み重なる
「今の利回り」という一時点の数字だけで判断すると、こうした伸びしろは見えてきません。増配が続く前提であれば、時間が味方になってくれる仕組みです。
ここまで読んだあなたなら、今の利回りだけで一喜一憂する必要はないと分かったはずです。まずは少額からでも、育っていく利回りを一緒に見守ってみませんか。






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